「様子を見ながら成長を待ってきて、気づけば8歳。どんな治療が必要か、矯正は費用が高いのか、どこの歯医者に行けばいいのか――判断できず、相談する機会もないまま不安だけが続いていた」
今回ご紹介する症例のお母さんも、そんな不安を抱えていらっしゃいました。前歯の噛み合わせが逆になっている状態は、放置すると顎の骨の成長を妨げ、さらに歯ならびが悪化する可能性があります。
本記事では、8歳男の子の前歯の歯ならび治療を実際の症例・使用装置・治療後の変化とともにわかりやすく解説します。
📋 この記事でわかること
- 「様子を見ていたら8歳」保護者のリアルなお悩み
- 治療前の診断内容(前歯の倒れ・逆の噛み合わせ)
- 放置するとどうなるか
- 使用した装置(マウスピース型・バイオブロック)の特徴
- 治療後の変化と今後の方針

8歳男の子の治療前(上)と治療後(下)の比較。前歯の重なりが改善されています。
「様子を見ていたら気づけば8歳」保護者のリアルなお悩み

「前歯を見るたびにこのままでいいのかと不安…」今回のお母さんのお悩みです。
「歯ならびや矯正治療の知識がなく判断できない」「どこに相談すればいいかわからない」――こうした声は、当院にも多く寄せられます。
迷っている間にもお子さんの顎は成長しています。上顎の骨は7〜9歳ごろをピークに成長するため、この時期を逃さず専門家に診てもらうことが、将来の選択肢を大きく変えます。
治療前の診断|2番目の前歯が内側に倒れ、噛み合わせが逆に

治療前。2番目の上の前歯が内側に倒れ、噛み合わせが逆になっています。このまま放置すると顎の成長が妨げられます。
初診時の診断では、次のような状態が確認されました。
🔍 治療前の診断内容
- 2番目の上の前歯が内側に倒れている(歯列の内側に入り込んでいる)
- 前歯がそろっていない(高さ・位置にばらつきがある)
- 噛み合わせが逆になっている(交叉咬合・前歯が下の歯の内側に入っている)
このまま放置すると、顎の骨の成長を妨げたり、さらに歯ならびが悪化する可能性があります。前歯の噛み合わせの問題は、成長期のうちに改善しておくことが重要です。
治療に使った装置|マウスピース型矯正装置とバイオブロック

マウスピース型装置で筋肉のバランスを整え、バイオブロックで顎を前・横方向に広げます。
この症例では、2種類の装置を組み合わせて治療を行いました。
| 装置 | 仕組み・目的 |
|---|---|
| マウスピース型矯正装置 | 装着することで舌・口周りの筋肉のバランスを整え、歯ならびに大きな影響を与える筋肉を正しく発達させる。口呼吸の改善にも効果的。 |
| 拡大装置(バイオブロック) | 型取りで作るオーダーメイド装置。ネジ穴がついており、患者さんが毎日自宅でネジを回して装置を少しずつ広げる。顎と歯列を前・横方向に広げ、歯が並ぶスペースをつくる。 |
💡 2つの装置を組み合わせる理由
マウスピース型装置で筋肉・呼吸の根本原因にアプローチしながら、バイオブロックで顎のスペースを物理的に拡大することで、より効果的・安定的な改善が期待できます。
治療後の変化|2番目の歯が前に出て、噛み合わせが改善

治療後。内側に倒れていた2番目の歯が前に出て、噛み合わせが改善。前歯がそろっています。
治療後は以下のような改善が確認されました。
- 内側に倒れていた2番目の歯が前方へ移動し、歯列に収まった
- 噛み合わせが改善され、前歯がそろった
- 顎の骨が成長しやすい環境が整った
治療完了後も、引き続き次の点を管理・経過観察していきます。
📋 治療後の継続管理内容
- お口の筋肉のトレーニングを継続
- 定期検診で大人の歯への正しい生え変わりを確認
- 虫歯・歯肉炎の予防管理
矯正治療は装置が外れたら終わりではありません。成長期のお子さんは永久歯への生え変わりを見ながら継続的に管理することが、長期的な歯の健康につながります。
まとめ|「知らなかった」という後悔をなくすために

すべてのお子さんに治療が必要なわけではありません。ただ、「知らなかった」という後悔はあとから取り戻せません。
「すべてのお子さんに治療が必要なわけではありません」
しかし、「知らなかった」「もっと早く相談していれば」という後悔は、あとから取り戻すことができません。
「前歯が気になる」「噛み合わせが逆かもしれない」「様子を見てきたけどそろそろ相談したい」――そんなタイミングで構いません。相生おとなこども矯正歯科では、成長段階・顎の状態・歯ならびの原因を丁寧に診断し、本当に必要な治療だけをご提案しています。
初診相談は無料です。公式LINE・DMでのご相談もお気軽にどうぞ。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 前歯の噛み合わせが逆でも、様子を見ていれば自然に治りますか?
A. 乳歯の時期であれば自然に改善するケースもありますが、永久歯に生え変わっても逆の噛み合わせが続く場合、自然改善はほとんど期待できません。上顎の成長ピーク(7〜9歳)を逃さないよう、早めの診断をおすすめします。
Q. バイオブロックは痛いですか?毎日ネジを回すのは難しくないですか?
A. 装置をつけ始めた直後や調整後に軽い圧迫感を感じることがありますが、数日で慣れるお子さんがほとんどです。ネジの調整は簡単な操作で、当院でしっかりご指導しますのでご安心ください。
Q. マウスピース型装置とバイオブロックは同時に使いますか?
A. 症例によって異なりますが、段階的に組み合わせて使用することが多いです。まずどちらが優先かを診断のうえでご提案します。
Q. 相生市以外からでも受診できますか?
A. はい、たつの市・赤穂市・姫路市方面など近隣からも多くの方にご来院いただいています。初診相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
参考文献
- Proffit WR, Fields HW, Sarver DM. Contemporary Orthodontics. 6th ed. Elsevier; 2018.
- McNamara JA. “Maxillary transverse deficiency.” Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2000;117(5):567–570.
- Turley PK. “Treatment of the Class III malocclusion with maxillary expansion and protraction.” Semin Orthod. 2007;13(3):143–157.
- Smithpeter J, Covell D. “Relapse of anterior open bites treated with orthodontic appliances with and without orofacial myofunctional therapy.” Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2010;137(5):605–614.
- Villa MP, et al. “Effects of rapid maxillary expansion on airway volume and sleep parameters in children.” Pediatr Pulmonol. 2024;59(2):310–322.
執筆・監修
村木 駿介(むらき しゅんすけ) 歯科医師
相生おとなこども矯正歯科 院長 / 顎咬合学会会員
兵庫県相生市にて、小児から成人まで成長・筋肉・呼吸を考慮した矯正治療を提供。バイオブロック・上顎拡大・マウスピース型装置を組み合わせた成長期矯正を専門的に行っている。