最近、お子さんが「ぼーっとしている時に口が開いている」「口を閉じていられない」などの様子はありませんか?
いわゆる “お口ポカン” の状態です。
実はこの姿勢、成長の途中ではよくみられるものの、ずっと続くと歯並びや顔の発育に影響が出ることが分かっています。
今日は保護者の方に知っておいていただきたいポイントを、なるべくやさしくまとめました。
◆ 人は成長とともに「口呼吸 → 鼻呼吸」が基本になります
赤ちゃんのうちは鼻呼吸がメインですが、成長の途中では鼻づまりや姿勢の癖などで口呼吸になることもあります。
しかし、本来は 成長とともに自然と鼻呼吸へ移行していくのが理想 です。
ところが、アレルギー性鼻炎・扁桃肥大・口周りの筋力不足・姿勢の悪さなどがあると、
鼻呼吸に切り替わらず 口呼吸のまま癖になってしまう場合 があります。
◆ 放置すると歯並びや顔立ちに影響する理由
最近の研究では、口呼吸の子どもは次のような特徴が出やすいことが報告されています。
● あごが正しく成長しにくくなる
口が開いていると舌が下がり、上あごを広げる力が弱くなります。
その結果、
- 上あごが狭くなる
- 歯が並ぶスペースが足りなくなる
- 垂れ下がった細長い顔つき(いわゆる「アデノイド顔貌」)になりやすい
といった変化が起きやすいことが分かっています。
これは下記のような研究でも示されています:
- 口呼吸の子どもは、あごが下方向に成長しやすく、顔が細長くなる傾向がある
- 3〜6歳で口呼吸の子どもは、上あごが狭い・前歯が噛み合わないなどの不正咬合が多い
● 歯並びにも直接影響
- 出っ歯
- ガタガタの歯並び
- 口が閉じにくい
など、矯正が必要になる確率が高くなるとも言われています。
● 息がしづらく集中力に影響することも
口呼吸だと空気が十分に整えられず、眠りが浅くなったり、集中力が下がりやすいという研究もあります。
◆ じゃあ、どうすればいいの?
保護者の方が「気づいた時に見てあげる」ことが一番の第一歩になります。
① まずは“気づくこと”
- 口がポカンと開いていないか
- テレビを見ているとき、勉強中、寝ているときの様子
などを見てみてください。
② 鼻づまりの有無をチェック
アレルギー性鼻炎や扁桃肥大が原因の場合も多いので、耳鼻科疾患の可能性もあります。
当院でチェックしたのち、必要があれば耳鼻科を紹介させていただくことがあります。
③ 舌や口まわりの筋肉トレーニング
歯科で行う「MFT(口腔筋機能療法)」は、舌や唇の筋肉を整え、鼻呼吸へ戻すサポートになります。
④ 歯並び・あごの成長チェック
成長期のちょっとしたズレは、早めに見つければ簡単に改善できます。
逆に、思春期以降は骨格が固まるため改善に時間がかかることもあります。
◆ 保護者の方へ:お口ポカンは「放っておかない」ことが大切
「ただの癖かな?」と思われがちですが、
実は 体の成長と深く関わっているサイン のひとつです。
もちろん、すぐに大きな問題になるわけではありません。
でも、気づいた時点で歯科・耳鼻科のチェックを受けることで、
お子さんの将来のお口の健康や顔立ちを守ることができます。
気になるときはどうぞお気軽にご相談ください。
お子さん一人ひとりに合わせて、無理なく続けられるトレーニングやケアをご提案します。
【執筆・監修者】
あいおいこども矯正歯科 院長
村木駿介 (歯科医師)
顎咬合学会会員