「下の歯が前に出ている」「以前の歯科医院では様子見と言われた」――そんなお悩みを抱える保護者の方は少なくありません。
受け口(反対咬合)は、放置すると成長とともに悪化しやすく、大人になってから治療する場合は骨の手術が必要になることもあります。本記事では、実際の症例と治療経過をもとに、なぜ早めの対処が大切なのかを解説します。
📋 この記事でわかること
- 受け口を放置するとどうなるか
- 早期治療が必要な医学的根拠
- 5歳からの実際の治療経過(MFT→矯正装置)
- 治療前後の変化
- いつ・誰が相談すべきか

「様子見と言われたけど…」

「以前の歯科医院では様子見と言われた。矯正が必要か知りたい」というご相談です。
「下の歯が前に出ている。以前行った歯科医院では様子見と言われた。滑舌も悪いし、矯正が必要か知りたい」――このようなご相談は、当院にも多く寄せられます。
「様子を見ましょう」は間違いではありません。しかし、受け口の場合は成長とともに骨格差が強まりやすく、早期に原因を診断することがとても重要です。
受け口を早めに治すべき理由|論文が示すリスク

反対咬合は成長とともに下顎優位が強まりやすく、成長期を逃すと治療の選択肢が狭まります。
矯正の教科書(Proffit)には、次のような記載があります。
「反対咬合(ClassⅢ)は成長とともに下顎優位が強まり、骨格差が自然に改善することは少ない。そのため成長期を過ぎると、歯科矯正のみでの改善は困難になることが多い」
つまり、受け口は放置するとさらに悪化しやすく、大人になってから治療する場合は骨の手術(外科的矯正)が必要になる可能性があります。
⚠️ 受け口を放置した場合のリスク
- 成長とともに骨格的な受け口が強まる
- 上顎の正常な成長が妨げられる
- 顔立ち(輪郭)への影響が大きくなる
- 大人になってからの治療に骨の手術が必要になる場合がある
また、受け口は鼻づまり・遺伝の影響も大きく、原因によって適切な治療法が異なります。歯科医院で早めに原因を診断することが大切です。
⚠️ 注意:骨格的に重度の受け口の場合は、成長期の治療では対応できないケースもあります。まずは診断を受けることが重要です。
実際の治療経過①|MFTで土台づくり

大人の前歯が生えるまでは舌・頬・呼吸のトレーニング(MFT)を実施。その後、矯正装置で前歯を移動。
この症例では、まず大人の前歯が生えるまでの間、MFT(口腔筋機能療法)で舌・頬・呼吸の使い方を整えました。
その後、上の永久歯が生えてきても噛み合わせが逆のままだったため、矯正装置を使って前歯を正しい位置へ移動させました。結果として、前歯の噛み合わせが改善しています。
実際の治療経過②|装置で横・前方向に歯を動かす

装置を使って歯を横方向・前方向に移動。上あごの歯列弓が広がり、スペースが確保されています。
装置により、歯を横方向(歯列の拡大)と前方向(前歯の移動)に動かしました。上から見ると、治療前と比べて歯列弓(歯並びのアーチ)が広がり、永久歯が並ぶスペースが確保されているのがわかります。
まとめ|「知らなかった」という後悔をなくすために

すべてのお子さんに治療が必要なわけではありません。ただ、「知らなかった」という後悔はあとから取り戻せません。
「すべてのお子さんに治療が必要なわけではありません」
しかし、「知らなかった」「もっと早く相談していれば」という後悔は、あとから取り戻すことができません。
受け口が気になるときは、まず原因の診断を受けることが最初の一歩です。相生おとなこども矯正歯科では、成長段階・骨格の状態・噛み合わせの原因を丁寧に診断し、本当に必要な治療だけをご提案しています。
初診相談は無料です。公式LINE・DMでのご相談もお気軽にどうぞ。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 受け口は自然に治ることはありますか?
A. 乳歯の時期に限っては、自然に改善するケースもあります。しかし永久歯に生え変わっても受け口が続く場合、自然改善はほとんど期待できません。成長期を逃さないためにも、早めの診断をおすすめします。
Q. 何歳から矯正治療を始められますか?
A. 受け口の場合は5〜7歳ごろから治療を開始できるケースがあります。まずはMFTで筋肉のバランスを整えながら、永久歯の生え変わりのタイミングを見て装置による治療を行います。
Q. MFTとはどんな治療ですか?
A. 舌・唇・頬の筋肉を正しく使えるようにするトレーニングです。痛みはなく、お子さんでも無理なく続けられる内容で、歯科衛生士が丁寧に指導します。矯正装置の効果を高める土台づくりになります。
Q. 相生市以外からでも受診できますか?
A. はい、たつの市・赤穂市・姫路市方面など近隣からも多くの方にご来院いただいています。初診相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
参考文献
- Proffit WR, Fields HW, Sarver DM. Contemporary Orthodontics. 6th ed. Elsevier; 2018.
- Frankel R. “Decrowding during eruption of permanent teeth with the function regulator.” Am J Orthod.1974;65(4):372–406.
- Sugawara J, Mitani H. “Facial growth of skeletal Class III malocclusion and the effects, limitations, and long-term dentofacial adaptations to chincap therapy.” Semin Orthod. 1997;3(4):244–254.
- Watkinson S, et al. “Orthodontic treatment for prominent lower front teeth (Class III malocclusion) in children.” Cochrane Database Syst Rev. 2013.
執筆・監修
村木 駿介(むらき しゅんすけ) 歯科医師
相生おとなこども矯正歯科 院長 / 顎咬合学会会員
兵庫県相生市にて、小児から成人まで成長を考慮した矯正治療を提供。大手医療法人での咬合治療・インプラント治療の経験をもとに、「将来の歯の健康」を見据えた矯正診断を行っている。