近年、子どもの歯並びが悪い子が増えている?
お子さんの歯並びについて、不安を感じる親御さんは少なくありません。
実際に「最近は歯並びが悪い子が増えている」と耳にすることもあるのではないでしょうか。
〜データが示す傾向〜
厚生労働省の「歯科疾患実態調査」や、国際的な研究によると、現代の子どもたちに歯列不正(歯並びの乱れ)が増えている傾向が示されています。
日本の小学生の約3〜4割が何らかの歯列や咬み合わせの問題を持つという報告もあり、これは決して珍しいことではありません。
国際小児歯科学会誌に掲載された調査(Peres KG, et al. Int J Paediatr Dent. 2015)では、世界的に子どもの歯列不正が増加傾向にあることが報告されています。こうした研究は複数の国や大規模なサンプルを対象としており、信頼性の高いエビデンスとされています。
なぜ歯並びが悪くなるのでしょうか
歯並びが乱れる原因はひとつではありません。代表的なものは次の通りです。
1. 顎の発育不足
柔らかい食べ物が増えた現代の食生活では、顎が十分に発達せず、歯が並ぶスペースが足りなくなることがあります。
2. 口呼吸
鼻ではなく口で呼吸する習慣があると、舌の位置が下がり、顎の成長に影響して歯並びが乱れやすくなります。
3. 遺伝的要因
顎の大きさや歯の大きさは遺伝も関与します。親御さんが矯正治療を受けた場合、お子さんも同じように歯並びに問題が出ることがあります。
4. 生活習慣
指しゃぶり、頬杖、姿勢の悪さなども顎や歯並びに影響を及ぼすと分かっています。
歯並びの乱れがもたらす影響
「見た目の問題」と思われがちですが、歯並びが悪いことは健康にも関係します。
• 歯みがきがしにくく、むし歯や歯周病のリスクが高まる
• 咬み合わせが悪く、食事の効率が落ちる
• 顎関節や全身の姿勢にも影響する可能性がある
そのため、歯並びの問題は早めに気づき、必要に応じて対策を取ることが大切です。
まとめ
子どもの歯並びの問題は実際に増加傾向にあることが分かっています。
その背景には食生活や生活習慣の変化、呼吸や姿勢の問題などが複雑に関わっています。
今後、お家でできるお口のトレーニングや、生活習慣改善方法についても投稿していきます。
「うちの子、大丈夫かな?」と気になる方は、いつでもご相談ください。早期にチェックすることで、将来の大きな治療を防げる場合もあります。
【執筆・監修者】
あいおいこども矯正歯科 院長
村木駿介 (歯科医師)
顎咬合学会会員